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女性診療科

86歳女性、卵巣腫瘍 (日本医科大学付属病院女性診療科、川瀬里衣子、竹下俊行)

概要

2年前より高血圧、高脂血症、2型糖尿病、ラクナ梗塞、C型慢性肝炎にて前医通院中であった。数日前よりチクチクするような左下腹痛を自覚し、改善しないため前医救急外来を受診。腹部CT検査にて左卵巣腫瘍を指摘され、当院を紹介された。

初診時現症

〈一般身体所見〉
156cm、57.4kg。中肉中背でバイタルに著変なし。
腹部は平坦・軟で圧痛など腹膜刺激症状を認めなかった。

主な検査所見など

〈血液検査〉
血算・生化学検査ではWBC(白血球)7100/μL(基準値4000-8000)、CRP(C反応性蛋白)1.7mg/dL(0.3以下)と炎症所見が軽度上昇していたが、それ以外は異常なかった。
腫瘍マーカーはCA125、CA19-9、CEAすべて正常範囲内であった。

〈画像検査〉
骨盤MRI(磁気共鳴画像)検査では、子宮の左側に12x11cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた。腫瘤の内部は水成分が主体であったが、一部に造影される壁在結節を認め、悪性腫瘍の可能性も考えられた。子宮には筋腫を認め、右卵巣には2cm大の嚢胞性病変を認めた。腹水やリンパ節腫大は見られなかった。

診断と鑑別診断

画像検査より子宮の左側に腫瘤があり、左卵巣腫瘍と考えられた。その他、腸管腫瘍や後腹膜腫瘍も鑑別にあがるが、頻度的には低いと思われた。

治療方針

卵巣腫瘍は茎捻転をおこすと急激な下腹痛の原因となることがある。また悪性腫瘍(卵巣癌)の可能性も否定できず、組織学的な検索が必要である。そのため開腹手術を行うことになった。

手術では左卵巣腫瘍を摘出し、迅速病理検査の結果が悪性(癌)であれば拡大手術を行う方針となった。

治療経過の総括と解説

経過中に下腹痛の増悪がなかったため、初診より約2か月後に手術目的で入院した。開腹したところ、左卵巣は超手拳大に腫大していたが、茎捻転は起こしていなかった。腹式単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術を施行し、手術中の迅速病理検査で左卵巣は良性腫瘍の診断であったため、手術終了とした。

参考文献