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眼科疾患

66歳女性、白内障、多焦点眼内レンズ適応症例 (武蔵小杉病院 眼科 鈴木久晴)

概要

1年前からモノがかすむ、光が眩しいなどの症状があり、また視力低下も自覚して近医に受診し白内障と診断され、手術目的にて紹介受診となった。若い時には眼鏡を必用とせず、40代に入ってから近くが見にくくなり老眼鏡をかけるようになったが、新聞や本を読んだりするとき以外、眼鏡はかけておらず、できることなら使いたくないという希望がある。現在、専業主婦であり日常生活ではプールに通っており、週末は山登りなどに出かけることもある。性格は比較的おおらかである。

初診時現症

遠方視力:右=0.09(0.8××+3.75=cyl-0.50A30°)、
左=0.3(0.8××+3.75=cyl-3.5A120°)
近方視力:右=(0.6××+6.75=cyl-0.50A30°)、
左=(0.6××+6.75=cyl-3.5A120°)
眼圧:右=21mmHg、左=19mmHg、
・散瞳検査にて前眼部に白内障を認めた。
・眼底検査では他に大きな異常を認めていない。

主な検査所見など

診断と鑑別診断

 診断:・白内障
    ・老眼
    ・遠視正乱視

症例4

症例4.pdf

治療方針

白内障以外に眼に大きな病気がなく、全身的にもほかに病気がなく、活動性が高いことから、白内障の手術を施行する際に、多焦点眼内レンズ(二重焦点眼内レンズ)を選択した。また、多焦点眼内レンズは性格がおおらかな方にむいていると言われているため非常に良い適応であると考えた。

治療経過の総括と解説

【白内障の治療経過の総括と解説】
 術後1ヶ月後の裸眼遠方視力は右=1.2、左=1.2、裸眼近方視力は右=1.0、左=1.0であった。ご本人によると眼鏡は必要としておらず、早くプールで泳ぎたいと非常に術後の満足度が高かった。
 現在、白内障は2mm前後の切開創から超音波乳化吸引装置を用いて水晶体核と皮質の混濁を破砕・吸引した後、水晶体嚢を残し、その中に眼内レンズを挿入するという術式が一般的である。切開創が非常に小さいことにより、術後の角膜の変形による乱視の増加を防ぐことが可能となり、屈折矯正手術としての意味合いを持つ。通常の眼内レンズは単焦点つまり焦点が一点にしか合わないため、眼鏡が必要となることが多い。そこで、光学的な工夫を組み込み、遠近両用の二重焦点とした多焦点眼内レンズがある。このレンズは先進医療の適用となっている。このレンズを使用することにより日常生活の八割ほどは眼鏡がいらなくなると言われている。ただし、眼球のもう一つのレンズである角膜の乱視が強い症例や眼底疾患がある場合は適応とならない場合もある。
 

参考文献