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糖尿病疾患の基礎と合併症

95歳男性、白内障を伴った糖尿病網膜症(日本医科大学武蔵小杉病院 眼科 鈴木久晴)

概要

半年前から両眼の視力低下を自覚し、当院に受診。3か月前に近医を受診したが、検査したことは覚えているが診断名は聞いていないとのこと。数年前より糖尿病に罹患しており、近医内科により加療されている。
患者本人の意識はしっかりしており、見えにくいとの訴えが強く、95歳と高齢でもあることから、自ら白内障が原因と考え、手術を受けることを目的に来院した。また、糖尿病の眼合併症に関してご本人は把握していなかった。初診時、眼底検査を施行したが、白内障が強く、網膜所見に関して詳細は不明であり白内障手術後に精査の方針とした。

初診時現症

視力:右=0.04(矯正不能)、左=0.01(矯正不能)
眼圧:右=13mmHg、左=14mmHg、

・散瞳検査を実施し、両眼に白内障を認めた。なお、後嚢下白内障であり、水晶体の光軸部分に強く混濁を認めたため、視力低下の主因と考えられた。
・散瞳下にて倒像鏡を用い眼底検査を施行したが、白内障の濁りが強く詳細は不明であったが、網膜剥離などの重傷な合併症は無かった。

主な検査所見など

・血液データ:
HbA1C:7.9%、随時血糖:170mg/dl、BUN: 40mg/dl、CRE: 1.44mg/dl
⇒糖尿病によると思われる腎臓機能の低下も認められ、内科医に相談したが局所麻酔下での白内障手術は可能との答えであった。

診断と鑑別診断

診断:・老人性白内障(後嚢下に強い混濁を認めた。)
・糖尿病網膜症の疑い。

糖尿病性網膜症の画像

治療方針

白内障手術を施行した後に、再度散瞳下での眼底検査を施行し糖尿病網膜症が疑われた場合には蛍光眼底造影検査を施行しレーザー光凝固術を施行する予定である。

治療経過の総括と解説

【糖尿病網膜症の治療経過の総括と解説】
初診より1ヶ月半後に左眼、その1ヶ月に右眼の白内障手術を施行した。手術後1週間目の視力右=(0.3)、左眼=(0.4)と改善したが、術後の眼底検査にて両眼ともに眼底出血、黄斑浮腫を認めた。
やはり糖尿病網膜症を発生していたため、蛍光眼底検査を施行したところ、網膜に血液の無潅流領域を認め、また黄斑部に血液成分の漏出も認めたため、レーザー光凝固術を施行した。糖尿病網膜症は微小血管が傷んでくる疾患であり、そのまま放置しておくと新生血管が造成され、出血を繰り返し増殖膜が形成され網膜剥離にいたる例や、隅角という眼の中の水の出口に新生血管が生えてくることによって水の出口がふさがってしまい眼圧が上がり緑内障を発生し失明となる場合もある。

上記のように糖尿病網膜症は黄斑浮腫、網膜剥離、緑内障へと進行し失明に至る病気であり、レーザーや硝子体手術などによる治療が必要となる。しかし自覚症状が出現するまでには時間がかかり治療の開始時期が遅れることも多く治療を開始しても視力の改善を得られない場合が多い。よって、糖尿病と診断されてから自覚的な症状がなくても眼科での定期的な検査が必要である。

参考文献